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「オワハラ」対策も就活セクハラ防止対策とともに

1 オワハラとは
「オワハラ」という用語をご存知ですか。一般的には、就職活動を「終わらせる(終われ)ハラスメント」の略称として使われています。具体的には、企業が、就職活動中の学生に対し、「他社へのエントリーをしないように」「内定承諾を早く決めるように」と強要するような行為を指します。
憲法で保障されている職業選択の事由を侵害するような行為で、いきすぎた言動は、刑法の脅迫罪・強要罪、民法の不法行為にも該当する行為となります。

2 厚生労働省が公表しているリーフレット
厚生労働省のリーフレットによれば、オワハラには例えば以下のような行為が含まれます。

・「他社の就活が物理的にできないよう、研修等への参加を求める」

・「内定承諾書等の早期提出を強要する」

・「内々定の連絡を受けたあと、他社の選考を全て辞退するように言われた」

・「メッセンジャーアプリに就職活動を終了するように求めるメッセージが再三送られてくる」

・「入社しなかったら損害賠償を発生する旨の記載がある誓約書へのサインを強要される」

・「内定辞退を申し出たにもかかわらず、引き留めるために何度も話し合いを求める」

・「自社の内定と引き換えに、他社への就職活動を取りやめるように強要する」

 

3 事業主等指針の規定
青少年の雇用促進等に関する法律第7条に基づいて、「青少年の雇用機会の確保及び職場への定着に関して事業主、特定地方公共団体、職 業紹介事業者等その他の関係者が適切に対処するための指針」(平成27年厚生労働省告示第406号)が定められていますが、そこには、以下の記載があります。

一 労働関係法令等の遵守
(ニ)採用内定・労働契約締結に当たって遵守すべき事項等

ニ 採用内定又は採用内々定を行うことと引換えに、他の事業主に対する就職活動を取りやめるよう強要すること等青少年の職業選択の自由を妨げる行為又は青少年の意思に反して就職活動の終了を強要する行為については、青少年に対する公平かつ公正な就職機会の提供の観点から行わないこと。

 

4 採用担当者への周知を
「就活セクハラ」防止措置に関する改正法が令和7年6月に公布されました。来年秋に施行見込みです。「就活パワハラ」については、法整備は見送られましたが、「オワハラ」については、厚生労働省のリーフレットや上記指針がすでに整っています。このようなリーフレットなどを活用して、「就活セクハラ」防止措置の法改正への対応に加えて、「オワハラ」についても今一度、採用担当者への周知や研修をしておくのがよいでしょう。

 

Source: LEGAL CONNECTION