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最低賃金の大幅引上げに伴う「業務改善助成金」の制度拡充

2025年9月5日、すべての都道府県において地域別最低賃金の答申結果が出揃いました。結果としては、答申での全国加重平均額は昨年度から66円引上げの1,121円となり、過去最大規模の引き上げが予定されることになります。

<参考リンク>
厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました ~答申での全国加重平均額は昨年度から66円引上げの1,121円~」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html

中小企業にとっては、人件費の増加が経営を圧迫する大きな要因となり得る中、厚生労働省は、こうした影響を受けやすい中小企業等への支援として、「業務改善助成金」の制度拡充を行いました。
業務改善助成金自体は以前から存在する制度ですが、今回は最低賃金の大幅引き上げに対応する形で、2025年9月5日より内容が拡充されています。人事労務担当者としては、最低賃金改定に伴う社内調整とあわせて、本助成金の活用可能性についても早々に検討をされるとよいでしょう。

(1)「業務改善助成金」の概要
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、生産性向上のための設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。助成対象となる設備は、POSレジや業務システムの導入、業務フロー見直しのためのコンサルティング費用など多岐にわたり、特例事業者であればPCやタブレット等も助成対象に含まれます。

※業務改善助成金の概要については、昨年の実務コラムもご参考ください。また、最新情報は厚生労働省の下記のサイトをご確認ください。

【実務コラム】最低賃金引上げを考える際に知っておきたい業務改善助成金
https://www.sn-hoki.co.jp/lc/app/pc/knowledge-detail/36360

<参考リンク>
厚生労働省「業務改善助成金」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

(2)今回の拡充のポイント
今回の制度拡充で特に注目すべきポイントは、以下の3点です。

◯対象事業所の拡大
従来は「地域別最低賃金との差が50円以内」の事業所に限られていましたが、今回、地域別最低賃金の引き上げ額がいずれの都道府県も50円を超えているため、「改定後の地域別最低賃金未満」の事業所まで対象が拡大されました。これにより、より多くの中小企業が対象となります。

◯賃金引上げ計画の提出が不要に
これまでは、事前に賃金引上げ計画を労働局に提出し、交付決定を受けてから賃上げや設備投資を行う必要がありましたが、答申発表日から新しい最低賃金額の効力発効日までの猶予期間が短い都道府県もあり、一定の条件を満たせばこの計画提出が不要となりました。具体的には、令和7年度の地域別最低賃金発効日の前日までに賃上げを実施すれば、事前計画の提出は省略可能となります。

◯実行のタイミングに注意が必要
助成の対象となるには、地域別最低賃金の発効日より前に賃金引上げを実施している必要があります。賃金改定が間に合わなければ、制度の対象外となってしまうため、早めの準備・実行が求められます。

(3)企業の人事労務担当者が今すぐ確認すべきこと
制度の柔軟化により利用しやすくなった一方で、実施期限が非常に重要になっています。人事労務担当者としては、以下の確認対応が急務です。
・最低賃金改定額と発効日を確認する(今回は、都道府県ごとに大幅に異なります)
・自社の事業場内最低賃金と改定後の地域別最低賃金を比較する
・賃上げ実施の可否と時期の判断
・対象となる設備投資の洗い出しと見積の取得
・計画提出が必要なケースかどうかを確認
・総合的に勘案して助成金の活用か否かの最終判断

また、助成対象設備を先に導入してしまうと助成の対象外となる点、また予算に限りがあるため早期締切の可能性がある点などにも十分注意してください。

(4)まとめ
最低賃金の引上げに対応するための業務改善助成金は、中小企業にとって賃上げと生産性向上を同時に実現する有力な手段です。今回の制度拡充により、より広範な事業所が利用可能となり、かつ手続きの一部が簡素化されました。
ただし、賃上げのタイミングや設備投資の内容など、条件を正しく把握しておかないと助成対象外になるリスクもあります。最低賃金の発効日から逆算し、余裕を持った準備を進めていくことが重要です。必要に応じて、貴社の顧問社労士などの専門家と連携しながら、制度の活用を模索しましょう。

<参考リンク>
厚生労働省「9月5日から、事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業等を 支援する『業務改善助成金』を拡充します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63127.html

Soerce2025年9月5日、すべての都道府県において地域別最低賃金の答申結果が出揃いました。結果としては、答申での全国加重平均額は昨年度から66円引上げの1,121円となり、過去最大規模の引き上げが予定されることになります。

 

<参考リンク>

厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました ~答申での全国加重平均額は昨年度から66円引上げの1,121円~」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html

 

中小企業にとっては、人件費の増加が経営を圧迫する大きな要因となり得る中、厚生労働省は、こうした影響を受けやすい中小企業等への支援として、「業務改善助成金」の制度拡充を行いました。

業務改善助成金自体は以前から存在する制度ですが、今回は最低賃金の大幅引き上げに対応する形で、2025年9月5日より内容が拡充されています。人事労務担当者としては、最低賃金改定に伴う社内調整とあわせて、本助成金の活用可能性についても早々に検討をされるとよいでしょう。

 

(1)「業務改善助成金」の概要

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、生産性向上のための設備投資等を行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。助成対象となる設備は、POSレジや業務システムの導入、業務フロー見直しのためのコンサルティング費用など多岐にわたり、特例事業者であればPCやタブレット等も助成対象に含まれます。

 

※業務改善助成金の概要については、昨年の実務コラムもご参考ください。また、最新情報は厚生労働省の下記のサイトをご確認ください。

 

【実務コラム】最低賃金引上げを考える際に知っておきたい業務改善助成金

https://www.sn-hoki.co.jp/lc/app/pc/knowledge-detail/36360

 

<参考リンク>

厚生労働省「業務改善助成金」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html

 

(2)今回の拡充のポイント

今回の制度拡充で特に注目すべきポイントは、以下の3点です。

 

◯対象事業所の拡大

従来は「地域別最低賃金との差が50円以内」の事業所に限られていましたが、今回、地域別最低賃金の引き上げ額がいずれの都道府県も50円を超えているため、「改定後の地域別最低賃金未満」の事業所まで対象が拡大されました。これにより、より多くの中小企業が対象となります。

 

◯賃金引上げ計画の提出が不要に

これまでは、事前に賃金引上げ計画を労働局に提出し、交付決定を受けてから賃上げや設備投資を行う必要がありましたが、答申発表日から新しい最低賃金額の効力発効日までの猶予期間が短い都道府県もあり、一定の条件を満たせばこの計画提出が不要となりました。具体的には、令和7年度の地域別最低賃金発効日の前日までに賃上げを実施すれば、事前計画の提出は省略可能となります。

 

◯実行のタイミングに注意が必要

助成の対象となるには、地域別最低賃金の発効日より前に賃金引上げを実施している必要があります。賃金改定が間に合わなければ、制度の対象外となってしまうため、早めの準備・実行が求められます。

 

(3)企業の人事労務担当者が今すぐ確認すべきこと

制度の柔軟化により利用しやすくなった一方で、実施期限が非常に重要になっています。人事労務担当者としては、以下の確認対応が急務です。

・最低賃金改定額と発効日を確認する(今回は、都道府県ごとに大幅に異なります)

・自社の事業場内最低賃金と改定後の地域別最低賃金を比較する

・賃上げ実施の可否と時期の判断

・対象となる設備投資の洗い出しと見積の取得

・計画提出が必要なケースかどうかを確認

・総合的に勘案して助成金の活用か否かの最終判断

 

また、助成対象設備を先に導入してしまうと助成の対象外となる点、また予算に限りがあるため早期締切の可能性がある点などにも十分注意してください。

 

(4)まとめ

最低賃金の引上げに対応するための業務改善助成金は、中小企業にとって賃上げと生産性向上を同時に実現する有力な手段です。今回の制度拡充により、より広範な事業所が利用可能となり、かつ手続きの一部が簡素化されました。

ただし、賃上げのタイミングや設備投資の内容など、条件を正しく把握しておかないと助成対象外になるリスクもあります。最低賃金の発効日から逆算し、余裕を持った準備を進めていくことが重要です。必要に応じて、貴社の顧問社労士などの専門家と連携しながら、制度の活用を模索しましょう。

 

<参考リンク>

厚生労働省「9月5日から、事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業等を 支援する『業務改善助成金』を拡充します」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63127.html

 

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